宝塚歌劇団 宙組公演 ホテルスヴィッツラハウスの観劇感想です。
この公演は、梅田芸術劇場で上演される予定が、緊急事態宣言のため無観客ライブ配信となりました。
●作品全体について
ミステリーにトッピングとしてバレエが重なったストーリーかと思いきや、芸術のすばらしさがメインテーマでした。
コロナという危機の中、芸術ってなんだろう?と考えさせられた。
緊急事態宣言で、劇場はクローズ、上演は中止になってしまったけれども、
エンターテインメントに関わる人々、それを生活の糧としている人々も確実に存在して。
その人たちのおかげで、私たちは観劇が出来て、心が豊かになることが出来ている。
実際コロナや戦争で、命が脅かされた時には、エンターテインメントを味わう余裕などない。
こうやって舞台を見ることができているという事は、自分は幸せなんだと思いました。
●各キャスト感想
【真風涼帆さん】・・・ロベルト役
アナスタシアからの安定のスーツ姿が良くお似合いでした。
紺のスーツが好きです。スーツの生地が光っている・・・と思いながら見ていました。
ハットのかぶり方も、ただかぶるだけではなく、指先をスッと横にずらして余韻を作っている所が素敵でした。
外交官役で、気品があり、雰囲気もピッタリ合っていました。
仕事ができる男でありながら、芸術にも理解があり最高ですね。
宙組は長身のジェンヌさんが多くてみんなスタイルが良くスーツ姿が沢山観られるこの作品は嬉しい限りですが、
真風さんは、その中でもひときわ輝いていて、誰と並んでも見劣りせず自分も相手も輝かせるという、抜群の存在感でした。
【潤花さん】・・・ニーナ役
バレリーナ役で、ダンスがとってもきれいでした。
この作品のクライマックス、シェエラザードのゾベイダ役も素敵でしたね。
お顔も華やかで、舞台の衣装では品のある衣装で、カッチリしたヘアスタイルと共にクラシカルな世界観がよく表現されいて雰囲気にピッタリ合っていました。
シェヘラザードは、ゾベイダと金の奴隷と逢瀬を楽しむというドキドキな設定ですが、そのバレエも品のある踊りだったように思います。
身長も高くて、トップお二人の並びがお似合いでした。
今後も楽しみですね。
【芹香斗亜さん】・・・ヘルマン役
ビリヤードダンス!キューが似合う男キキちゃん。やっぱりスーツ姿いいですね!
今回も、グレブに引き続き、片思いの役・・・なかなか両想いになれないので、キキちゃんのハッピーな姿が見たくなりました。でもそこがまた余韻が合っていいんでしょうね。
役では、芸術家のパトロンであり、収容所送りになる芸術家を助ける役でした。
きっと当時本当にこんな人がいたのだろうなと思わせるような。
芸術は、このように、自分の身を顧みず芸術に身も心も捧げるような人々によって支えられ、
身も心も捧げられるほどの力を持ったもであると実感できる役でした。
【遥羽ららさん】・・・アルマ役
若く魅力的な未亡人役。アナスタシアでは可愛い皇太子を演じていましたが、今回は美しい大人の女性の役。華やかで、舞台に登場すると、パッと目を惹かれてしまいました。
胸元が大きく開いたドレスで男性を誘惑し色目を使う色っぽい面もありながら、好きな人をずっと想い続ける純粋な面も。
彼女の恋は、ピアニストである彼に惹かれ、その音楽の美しさに惹かれ、心震える芸術に彩られたものでした。
ニーナの友人のユダヤ人兵士も、バレエの美しさに心奪われニーナの友人と恋に落ちたように、芸術とは恋をも生み出すものなのですね。
●ニジンスキーとは誰なのか?
舞台上でしきりに出てきたバレエダンサー「ニジンスキー」と言う名前。
ホテルスヴィッツラハウスでは、療養中のニジンスキー救済のチャリティーバレエ公演が開かれていましたね。
ニジンスキーとは誰か?気になったので調べてみると、1890年生まれのロシアのダンサー、振付師で、世界に衝撃を与える存在だったようです。
才能を認められ舞踊学校に入った彼は、18歳で主役に抜擢され、有名になり、数々の舞台で主役を務めました。
当時バレエの主役といえば女性が中心でしたが、彼は中性的な魅力で人々を魅了し、バレエ団の主催者と付き合っていたそう。
身長は低かったものの、ジャンプ力は高く、「空中に止まっているようだ」と称賛されました。劇中に出てきた「シェエラザード」も踊っていたそうです。
振付師としての彼の振りは斬新で、それまでのバレエにはなかった動きを取り入れ、人々の間では賛否両論でした。「春の祭典」では、あまりに前衛的で、全くの不評だったそう。
ダンサーとしては一流でしたが、興行師としての才能はなかったようで、バレエ団を作ったものの失敗に終わっています。
ダンサーと結婚しますが、そのことに怒った恋人のパトロンに縁を切られ、その後精神を病んだりしたようです。
ニジンスキーの舞踏の映像が残されていないことから、その踊りは伝説となっているそうです。
彼が作った作品は、当時は批判の声もありましたが、今もなお振り付けが再現され、上演されています。
スケーターの中でもその名を知られており、スケートの羽生選手のフリー、「Origin」は、プルシェンコ選手が踊っていた「ニジンスキーに捧ぐ」のアレンジしたもの。
ニジンスキーの最期の公演が行われたのが、スイスのホテルだったようで、
芸術の象徴としての彼と、このストーリーのメッセージが繋がるようですね。
●観劇中泣いてしまった
ストーリー自体、今の社会状況を表すようで、ジーンとして感動していましたが、最後の拍手の来るはずの場面では当然無観客のため拍手が来ない・・・その瞬間、泣いてしまいました。当たり前に思っていたことが、当たり前じゃなくなった世の中なんだなあ、と実感して。
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客席は椅子だけが並んでいて、誰もいない・・・そんな中、笑顔で、一生懸命演じ切っているジェンヌさんにひたすら感動でした。
真風さんが最後のあいさつで、申し訳ないって謝っていたけど、そんなこと思う必要ないですよ!お客さまの笑顔に助けられていただなんて、そんな思ってもらっているだけで嬉しいです!一緒にって言ってもらえるだけで嬉しいです。頑張りましょう!!
コロナで大変な中、上演して下さった、キャストの方々、関係者の皆様のおかげで
楽しい一時を過ごすことが出来、明日への活力を得ることができました。こちらこそ、ありがとうございました!!